語り部、ノムさん
Column

語り部、ノムさん

第12号

人財or人材・・朝ドラ「マッサン」から学ぶ

先日、ある大手メーカーのIEマン達と懇親を深める機会があった。社内で「ものづくり道場」を作り新人研修から社風、技術を教え込むという取組みをしている。
また、生産技術センターでは中堅社員に対し社内研修で業務の作業改善を担っている。
話しを聞いていくうちに与えられた時間の中でそれぞれに人育てという教育の難しさを改めて感じた。
以前、ある自動車組立メーカーの方からこんな話を聞いた。
入社してすぐに現場に配属されまだ何もわからない自分に課せられたことは作業現場の横にコの字の線を引かれこの中で一日中作業を観察させ最後に巡回してきた上長に感じたことを報告させる。
禅問答のように答えに対し何故、どうして、なんでそう感じたのかの意見交換が連日続いた。
恐らく、そのほとんどが経験者であれば作業改善の原理原則に立ち返ればおのずと答えが導き出された事であろうが今にして思えば現場を自分なりに肌で感じ、その時疑問に思ったことが本当の意味で自分に身に付いた現場改善ではなかったのではないかと。
人材は集められても人財はなかなか作れない、企業の財産となりうる人財は一朝一夕で簡単に短時間では育成できない。決して付け焼刃で即戦力を求めることを期待せず時間を掛けてじっくりと育てる企業姿勢が将来会社の屋台骨となっていくであろう。
NHK朝の連続ドラマ「マッサン」の1シーンで「時間を掛けてじっくりと熟成した原酒は自分の子供と同じ、将来はこの街をウイスキーの町として育ててくれるだろう。」ドラマの舞台となった北海道余市も京都山崎もいまでは国内有数のウイスキー蒸留所となっている。
欧米に比べて後発のウイスキーは当初、なかなか国内消費者には受け入れてもらえなかっただろう。
いいもの、本物を作ること。これは言い換えればまがい物では無い高品質なものである。品質を上げるということは製造者が同じ工程でおなじ作業手順を同じ原材料を使って作ることではないだろうか。ごく単純なことだろうが繰り返し同じことができることはどんなにか大変な作業であるかと思う。
人もウイスキーの原酒もじっくりと時間を掛けた熟成品の一品が世の中で本物になると感じた。
IEマン達の話はより一層と盛り上がった。