トヨタ生産方式は、異常が発生したら機械がすぐに停止し、不良品を造ることがない状態を重視する「自働化」と、各工程が必要なものだけを生産するのが最適だとする「ジャスト・イン・タイム」の2つの思想から生まれました。生産する現場において重要なのは、ムダのない作業と不良品を造らない技術です。もし仮にムダが多く、不良品を製造することも多い企業があれば、当然生産効率は下がりますし、顧客は離れていきます。トヨタは負のサイクルを避けるために、自働化とジャスト・イン・タイムを2本の柱とし、提唱し続けているのです。
また、トヨタ生産方式はトヨタ以外の企業でも取り入れられることが多く、どれだけ注目されている方式なのかがわかります。ただし、この方式を導入したからといって、すべての企業が成功しているわけではありません。ポイントは、自社製品に合っている分野で取り入れることです。例えば、大量生産することで利益が得られる商品があるとします。その商品を生産する現場に、無理にジャスト・イン・タイムを導入してしまうと、利益が大幅に下がってしまったりコスパが悪くなったりするのです。まったく異なる体制で生産している現場においては、作業員からの不満が増えたり逆に生産効率が低下してしまったりする可能性も考えられます。つまり、むやみやたらにトヨタ生産方式を導入するのではなく、必要に応じて取り入れるように心がけることが重要なのです。
トヨタ生産方式の導入を検討し始めると、気になるのがその手法です。主に4つの手法があり、中には海外でも注目されているものもあります。
1つ目はカイゼンです。悪いところを直す改善ではなく、悪いところもいいところも直してよりよくするのがカイゼンとされています。このカイゼンは海外でも使用されているワードであり、ものづくりをする上で欠かせない行動だといえるでしょう。
2つ目は見える化です。見える化とは、現状や課題を目に見えるように表すことをいいます。「生産効率や作業効率が悪いことがわかっているけれど、どこに問題があるかわからない」といったケースでは、すべての工程を見える化することで問題を抽出することが可能です。問題がわかれば、会社全体で解決策を講じることができ、カイゼンすることにつながります。
3つ目は、「なぜ」という問いを繰り返すこと。課題ができたとき、「なぜ」と原因を追究する姿勢が大切です。積極的に追求しない企業では、本当の問題を見つけられず、カイゼンが難しくなってしまいます。課題があるときは「なぜ」がなくなるまで追求しましょう。
4つ目は「7つのムダどり」です。7つのムダとは、作りすぎのムダ、手待ちのムダ、運搬のムダ、加工のムダ、在庫のムダ、動作のムダ、不良品をつくるムダのことを指します。一般的に有名なのは3Mですが、トヨタ生産方式ではそれを超える7つのムダを排除することで生産性を高めているのです。生産性、効率性を追求しているトヨタの思想を参考にしてみてはいかがでしょうか。