語り部、ノムさん
Column

語り部、ノムさん

最新版

原価低減の落とし穴

報道では、米国に入稿する貨物船の入港税を新たに徴収するとニュースが流れてきました。
トランプ関税に始まり、日本に限らず北米に輸出する産業は大きな打撃を受けています。
自動車・輸送業種の大企業は関税による損益を円安と好調なHV販売で相殺(プラス)を目論んでいるようですが、相対的に全業種の生産数は減産となり、下支えしている多くのサプライヤーは苦難の連続であると想像されます。

日本国内ではインフレが続いていますが、これには2種類のインフレがあります。
1. ディマンドプル・インフレ(需要があり、高くても欲しい状態)
2. コストプッシュ・インフレ(コストが上がり、高くて買えない)

1. はディマンド(需要)の増加が要因で物価が上昇します。売価は上がり、売上・利益も増えて、賃金や設備投資も上昇し、消費も増える好循環な状態

2. はコスト(原材料費や労務賃金)が供給側に負担が掛かり、製品売価やサービス価格に転嫁する悪循環な状態

もちろん、好循環なディマンドプル・インフレの状態にすることが求められますが、急激なコスト上昇が起こっていますので価格転嫁が追い付かず値上げによる需要減により供給側の利益を押し下げているのが現状です。

今できることは何か・・「生産現場・工場には宝が転がっている」 売上が下がったらやることは一つ、スグに出来ることは作業改善による原価低減です。2008年リーマンショックが来た時に、ある企業の方が“作業分析ソフトTimePrism”を使用して作業の時間分析を精確に行い、作業のムダ・ロスを見つけ、最適な標準作業を得られ、原価低減が出来たと教えていただきました。

IT化、生成AIが急激な進化を遂げ、ソフトウェアにも応用されてきました。しかし、現場で起きる出来事や作業改善を見つける目は、人間(作業者)が行い解決していくものなのです。作業改善の行き過ぎた省人化はモノづくり立国、ニッポンにとっての財産となるのでしょうか。