「カイゼン」とは、工場などの生産現場での安全性や業務効率を見直す活動のこと。現場で作業をする従業員が中心となってアイデアを出したり、作業分析を行ったりしながら問題を解決していくのが特徴です。海外ではアメリカの空軍や病院などで、幅広く導入されていますが、日本でも幅広い業種・業態で取り組まれています。ここでは、作業分析を通じてカイゼンが推し進められる背景には何があるのか、以下で詳しく見ていきましょう。
1つ目に挙げられるのは、ムリ・ムダ・ムラの「3Mの削減」です。
ムリとは、業務にあたり能力以上の負荷がかかること。
ムダは、トヨタが提唱した「7つのムダ」が有名で、付加価値を生まない作業のことで、材料や作業手順などがバラバラだと、品質に影響が出る可能性があります。
そして、ムラは仕事が一定ではないことを指しています。近年は新型コロナウイルスの影響により、多くの企業がリモートワークを導入しており、通勤時間のムダはカットできるかもしれません。しかし、各従業員の作業分析ができておらず、ムリな作業になっているケースもあります。これを放置した場合、優秀なスタッフの離職や、思わぬミスに発展するかもしれません。そのため3Mをカイゼンすることは、企業にとって大きな課題です。
次は整理・整頓・清掃・清潔・躾の「5S活動の促進」です。「整理」は、不要なものを処分し「整頓」は、必要なものをすぐ取り出せる状態にすること。ゴミやホコリなどの汚れのない現場を目指す「清掃」と、きれいな状態をキープする「清潔」も重要です。最後の「躾」は、従業員が整理、整頓、清掃、清潔のルールを熟知し、ルールが守られている状態を指しています。5Sが守られていれば会社内のロスが減り、作業の効率化につながります。在庫管理に応用すれば、コスト削減や業務スピードの改善も見込めるでしょう。このルールを継続して守ることで、結果的に製品やサービスの品質向上につながります。
そして、カイゼンが図られる最後の理由は、トップダウン式を廃止し、ボトムアップ式に変えることです。トップダウン式とは、リーダー層が現場の改善に取り組み、従業員に対策を当てていく方式のこと。一方のボトムアップ式の場合、現場の作業分析を行い、改善を行います。現場の問題は現場にいるスタッフが1番良く理解していることが多く、現場を知らない経営層が対策を考えても、現場で役に立たないケースは少なくありません。現場で話し合いを行えばより的確に改善が図れるほか、リーダー層を通す時間を削減できるので、スピーディーにカイゼンが進みます。現場のカイゼンで重要なポイントは、全社的に進めることです。試験的にチームで行動を起こしたら、結果を他のチームにも共有しましょう。また、経営層やリーダー層が仕組みを作り、全社的に導入する手段も有効。ツールに迷っていたら日本生工技研の「タイムプリズム」がおすすめです。作業分析に役立つデータのシェアに優れており、色付きのグラフやチャートで具体的に把握できます。プレゼン用の資料作成への応用も簡単で、全社的な導入に向いています。