コラム『モノづくり工場の創意工夫(4)』
パナソニック ファクトリーソリューションズ株式会社(以下「PFSC」)の幸前です。さて、『モノづくり工場の創意工夫』第4回目の投稿です。
前回までのコラムの通り、モノづくり工場において、多品種少量生産で低コストを実現するには、『モノづくり基盤力』と『資材生産在庫管理力』の更なる進化が必須です。
今回、モノづくり基盤力『5S』及び『見える化』に続き、『生産管理』の創意工夫にスポットを当てます。尚、所々に表れる専門用語の定義については割愛します。ご容赦下さい。
周知の通り、生産管理とは、経営方針にもとづく投資計画(資源管理)・生産計画(受注管理)・調達指示(購買・外注管理)・生産統制(工程・設備管理)、出荷指示(在庫・物流管理)等、モノづくりに幅広く関与し、利益確保への競争力の源であります。すなわち、多品種少量生産のスループットは、生産管理で左右されると言っても過言ではありません。
しかしながら、突発計画変更などへの対応に苦慮され、経験と勘に頼るドンブリ勘定の生産計画で膨大なロスを被っている工場も散見されます。
そこで、生産計画の創意工夫の紹介です。 (下記1.~3.)
1.工数(マスター)管理
スループットを最大化している工場は、生産計画の『基礎情報』であるサイクルタイムや段取り時間などの管理を徹底されています。基礎情報の管理値と実績値を可視化し、ギャップ発生の真因を追究、高精度な基礎情報を更新し続ける仕組みを構築しております。また、作業者にノウハウがあって標準化が難しい調整や修正作業等も、基礎情報管理を一貫しています。
※ここが生産計画の土台、高精度な基礎情報管理が、生産計画の高精度化をもたらします。標準化できないものは、進化が困難な事を意味します。
2.スケジューリング
納期、資材(在庫)、および、設備・人・治工具などの『制御因子(4M)』を考慮し、スケジューリングの最適化を実現しています。
例えば、同一の設備・人的資源にて数機種を生産する場合、その数機種の共用資材をグルーピング化・一括準備を行い、段取り回数・時間の削減を図られています。
※すなわち、制御因子の変化点の極小化により、インプット(工数)の激減が期待できます。工場内モノづくりプロセスにおいて、同じ資材(モノ)に触れる回数は、1回(ワンタッチ)が理想です。また、多くの変化が発生する『資材管理』との連携を重要視し、モノと情報の一元管理を図り、今・何が・どこに・どれだけあるかをリアルタイムに共通認識できる仕組みを構築しております。
※ここが重要、最適なスケジューリングには、資材(モノ)の高鮮度・高精度管理が必須と言えます。
3.実績管理
生産実績をリアルタイムにフィードバックする仕組みを構築しており、生産計画と の『ギャップ』を常に部門内外で共有しております。
曖昧な生産計画での実績管理は無意味、高精度な計画が前提になります。
※全従業員の一体行動の仕掛けとして、生産計画に対する実績管理の徹底により、『今現在どれだけ儲かっているか?』をリアルタイムに情報共有している工場も存在します。また、前のコラム『見える化』でも述べましたが、設備や制御ユニットなどを駆使し、実績情報を自動収集、『人が介在しない』仕組みを構築することが実績管理の強化をもたらします。
創意工夫の紹介を通じ、高精度な生産計画には、日本生工技研殿の作業動作分析ソフト『タイムプリズム』の活用が有効です。高精度な基礎情報(サイクルタイムなど)の算出・管理、および、制御因子の一つである作業スキルの高位平準化が狙えます。
以上、多品種少量生産のスループットは、生産管理(生産計画)で左右されると言っても過言ではありません。生産管理(生産計画)の仕組みの進化、それが、更なる高収益工場に導いてくれると実感しております。
次回、第5回目の投稿は、標準作業の進化への創意工夫を予定しております。
尚、コラムは、パナソニック株式会社 及び PFSCの見解を示すものではありません。
日々のモノづくり工場のコンサルティング業務を通じ、小生が実感していることを自由に描いたものであります。