語り部、ノムさん
Column

語り部、ノムさん

第16号

採用試験

昨今では、どこもかしこも人材不足が叫ばれている。なかには創業100年の老舗企業が後継者不足で黒字倒産するケースも出ている。
日本経済をけん引してきた製造業でもご多聞に漏れず、会う人ごとに人材確保の話題が出てくる。
少子高齢化が顕著な地方ではこれはもっと深刻で喫緊の解決すべき課題となっている。
少数精鋭を目指している当社だが、やはり社員の雇用は将来世代の空洞化を招くので必然的に採用を行うことになる。
採用試験の設問を考えていると、ふと自分も採用される側にいたことが頭をよぎった。
あの時、試験官からどんなことを聞かれたか、どのような回答をしたのか、そして自分のどこを見て採用、不採用を決めたのか、等々、今になってとても気になってきた。
人材とは人財でもあり、企業・会社の将来を託す方たちである。
採用する側に立ってみると、また見る景色が違ってくる。
質問をいろいろと変えてみるが、返ってくる言葉は異口同音に聞こえてくる。服装もどこか似ている。昔と比べると個性も薄まっているような気がするのは私だけなのか。
社内会議でこんな質問をしてみた、「もしもあなたが社長だったら誰を採用しますか?」
① 言われなくてもやる人
② 言われればやる人
③ 言われるまでやらない人
④ 言われてもやらない人
返ってくる多くの答えは①ですが、現実的には売り手市場なので恐らくは②までですね。
続いて・・「ところであなたはこのうちの、どれに当てはまりますか?」
ほとんどが即答はせず、しばらくたってから「少なくても④ではないですね!」
慎重派は、「①を目指して日々、努力しております。」
採用試験では、ほとんどが自己アピールを前面に表現するが、実際はどのタイプなのかはっきりしてもらうほうが採用側としてはありがたいと正直思っている。
採用して初めて気がつくのだが、⑤言われないことまでやってしまう人、が意外と多いような気がしている。
さすがにこれでは組織で動いている企業としては困った社員になりかねない。
指示待ち人間よりむしろこちらの方が取り扱いが面倒なケースが多い。
採用試験とは人と人の出会いの場、もしかして一生のお付き合いをすることになるかもしれない。
一体この人は、どのタイプなのか、能力はあるのか、性格は、長所短所は、など考えていると、きりが無いことばかり。
しかし、本当に大切なのは入社してから会社にとって必要不可欠な人財になることではないだろうか。
そんなことを考えて採用試験に臨んでいる昨今である。