第13号
高校生の野球から会社を学ぶ
2015年の全国高校野球選手権大会は甲子園球場で連日の熱戦を繰り広げた。全国大会は今年で記念すべき100年を迎え、その当時優勝校であった鳥羽高(京都二中)や早稲田実業が出場し人気選手が注目を集め観客も連日満員状態であった。
8月20日の決勝戦は東海大相模高が仙台育英高を下して45年ぶり2回目の優勝を遂げ惜しくもまたしても東北に優勝旗はもたらせることが出来なかった。
ところで最近の特長は地域格差が無くなってかつての強豪校がひしめく地区に劣らずこれまでの弱小県と言われる地区が勝ち残ってきた。
甲子園に出場し最後まで勝ち残るチームの特長は何か、育った環境の異なる多くの選手を束ねる監督や学校の管理、マネージメントはどうしているのか気になるところです。
それら名将と言われる監督の語録やインタビュー記事に興味深い共通項があることに気づきました。
帝京高校(東東京)前田光夫監督 春夏26回甲子園出場 優勝3回
高校野球の監督になって自分自身甲子園の出場経験もなく大学時代はレギュラーでもなかった。
監督として、そんな認識があるからこそ、前田はあえて「厳しい監督」に徹している。言い方を変えれば、演じている。
「選手に好かれたい、なんて思わないんですよ。そんな監督にはなりたくないんです。高校野球というものは、笑いながらやっても勝てる世界じゃないんですよ。」
「監督は、常に選手と真剣勝負をしていなければいけない。そうじゃないと他のチームとの勝負にも勝てない。」
選手との距離を縮めようと努力する監督が多くなった時代に、昔気質の前田の姿勢は際立っている。
甲子園では池田高校(蔦文也監督)に0-11で大敗し、智弁和歌山高(高嶋仁監督通算63勝)に終盤逆転するも惜敗してしまい勝てる監督に学びチームスタイルをその都度変えてきた。
ある企業再生専門の弁護士さんと社会保険労務士さんに聞いた話しだが
「創業者2代目社長」「草食系ニンジン社長」
共通していることは・・労使関係がおかしくなる。
いつのまにか主従逆転してもう元には戻せない。
あまり喜ばしいことではないが世の中ブラック企業がキーワードになっている。社員を人間扱いせず容赦なく切り捨てる企業がどれだけ多いことか。
だれもが最初は楽しく幸せな会社を目指している。しかし上記の2タイプの社長さんは社員を満足させることに充足感を感じついつい自分自身が手綱を緩めてしまう傾向にある。社員(選手)が言いたいことを言い出し不満や過度な要求をしてくるようになりその結果社長(監督)の指揮命令が崩れ出して品質や売り上げが下がる(勝てない)会社(チーム)になっていく。そうして会社は立て直しのためいつの間にか厳しい(ブラック)会社に変身していく。
よく考えると安穏としてぬるま湯に浸かっている社員の方にも原因があるのかとも思うが、会社(経営者)と社員は友人でもなければ知人でもない。労働力や技能を対価で買っている(提供している)ことを忘れている。2タイプの社長さんは自分の理想の甘さに気づかされるのだが時遅し、自分も去っていくことになる。
カリスマと呼ばれている少々無鉄砲な創業者の社長の方が不思議と社員が付いてきて会社の存続期間も長く大企業に成長するケースは多々ある。
労使ともに良好な職場環境を築き、ブラック企業が嫌で会社を無くしたくなかったらお互いに役割を見失わないように常に自分を律して勝てるチームを作っていくしかないということですね。